15歳で妊娠した中国系の少女がアラン(ジェームズ・スペイダー)の助けを求めに来る。母親が中絶に同意しないため、少女は裁判所命令を取りたいと訴えるが、中絶反対派のデニー(ウィリアム・シャトナー)は依頼人の意向を無視。アランに補佐を頼まれたシャーリー(キャンディス・バーゲン)も、自らの中絶経験を理由に担当を拒否する。カフェでほかの客に暴言を吐かれたジェリー(クリスチャン・クレメンソン)は、マフィンを投げつけた揚げ句、顔面を殴って気絶させてしまう。さらにケイティ(タラ・サマーズ)の反対を押し切って、自ら公判で無罪を主張する。(FOXより)
<内容>
コーヒーショップで男の鼻を折り、ジェリーが加重暴行で訴えられる。検察側の証人として一緒にいたケイティが召喚されることに。
カールは弁護をしたいと申し出るがジェリーは本人弁護をすると断る。
ケイティは事実をありのままに証言するが、それがジェリーの心証を悪くする結果に。
裏切りだというジェリー。質問に答えただけだと言うケイティ。大喧嘩となる二人。
ジェリーの部屋を訪れたケイティは言う。
「私は味方だが、被害者を責めるだけでは無罪は勝ち取れない。意見が衝突した時には大人としての対応がある。マフィンを投げたり殴ったり、倒れた人を前に勝利の舞を披露したりしない。根本にある原因を考えて欲しい。許されない行為ではあるが、陪審に許してもらうのだ」と。
検察側の最終弁論
被告人はマフィンを投げ、被害者を殴って鼻を折り気絶させた。さらに心配する様子もなく踊った。歌って踊り"かかって来い"と周りを挑発した。
"暴力的で反省の色もない犯罪者"これが彼を表す言葉だ。
法的な定義は"加重暴行"だ。
なぜ女性が行方不明ですか?
ジェリーの最終弁論
自分はあらゆる心の障害を持ってる。アスペルガー症候群であり、社会性が未熟なせいもある。40代後半なのに幼稚な時がある。"変"という理由でイジメられてきた。
イジメられた記憶は、一生付きまとう。毎日考えはしないが心のどこかにある。
からかわれた時、彼のせいで爆発したわけではなく、何十年もの思いがたまっていた。
イジメの記憶は消えない。
被害者たちは大抵、イジメっ子から逃げる。自分も一人なら逃げてた。
でも今回、隣にはケイティがいた。マフィンを投げたことは、自分にとっては大事件だ。
彼が向かってきたため自分の身を守ろうとした。今まではあきらめていたことだ。
握り拳を作り、目をつぶっていたため命中したのは驚きだった。
奇跡が起きてイジメっ子は倒れた。
これまでずっとイジメられバカにされ笑われるだけだった。でも初めて立ち向かった。
信じられないほど嬉しく、歌って踊ってケンカを売ったが、内心は怖かった。
あんな風に喜んだことを取り消したい。でもあのパンチは取り消さない。
40年以上の思いを込めた一発だった。
評決:無罪
15歳の中国系の少女キム(Chihye Chung)がアランのもとにやってくる。
中絶したいが、母親(ミン・ナ)が同意してくれないために裁判所命令を取りたいのだと言う。
アランはシャーリーに弁護を頼むが、中絶経験のあるシャーリーは、これは家族の問題であり、中絶の経験は一生忘れられず、どんな中絶にも賛成できないと言う。
二人の会話を聞いたキムは、「3年前に自由を尊重する国で母親と暮らすためにアメリカに来た。弁護士は自由を守る仕事なのではないか」と訴える。
バーガーは誰ですか?
シャーリーは、アランにやはり引き受けられないと言う。アランは、
「処置は受けてないが心情は分かる。喪失感や疑念それに罪の意識も。だからこそ代理を頼もうと思ったのだ」
と訴える。(アランは過去に恋人に勝手に中絶をされた経験がある)
アランも降りるべきだというシャーリー。
弁護士であるのなら、少女の法的権利のために闘うべきだと訴えるアラン。
シャーリーは引き受けることになる。
アランの様子を見に来たデニーは言う。
「君のような中絶賛成派は、ロー対ウェイド事件がよりどころだ。迷いがあるからこそあの判決にすがってる。心の奥底では自分たちの主張を疑ってるんだろう」と。
呆然とするアラン・・・。
審理が始まる。
アランの主張:中絶する権利がある。裁判所命令など理不尽である。親権者の同意の要求も違憲である。多くの子供たちは親に話さず、危険な処置を受けるか黙って出産する。出産に伴う死亡率は中絶より10倍も高い。
裁判長:考えるべきはキムの成熟性と将来。
母親の主張:娘が育った環境や価値観はよく知っている。きっと命を尊重する人間になるはずだ。中絶すれば精神� �に苦しむ日が来る。
キムの主張:私は確かに子供だ。避妊もしなかったのが何よりの証拠。しかし、うちの家族は貧乏だ。10代の母親の約80%は生活保護を受けてる。学校にも行けず、子供にもいい教育を受けさせられない。出産したら私と子供がどうなるのかは分かる。中絶することが最善の選択だと思う。
裁判長:難しい問題だが、キムは成熟した女性に見える。でも15歳の子を持つ母親たちは子供たち本人よりわが子を理解してる。
(休廷)
シャーリーはカールに「キムには全く葛藤が見えない」と疑問を投げかける。
「赤ちゃんは女の子なのか?」と問うカール。さらに「昔から女児は殺されてきた。研究結果がある。1980年に一人っ子政策が導入されてから性選別が急増した。男児が望まれる。中国の女児にとって超音波検査は大敵だ」と。
世界最大の大理石の博物館は何ですか?
シャーリーはキムに「赤ちゃんは女の子なのか?」と問う。
「知らない。関係ない」と答えるキム。
「女の子だから中絶するのか?」と問うシャーリー。
「中絶の理由は審理には関係がない」と答えるキム。さらに
「10代では母親にはなれない。これ以上口を出さないで欲しい」と言う。
(審理再開)
裁判長:娘の一番の理解者は母親である。しかし、キムは大変、明確な意思を持ってる。裁判長として女性として出産を強いることは・・・。
突然、シャーリーが立ち上がり発言する。
シャーリー:私はキムの代理人であり女性だ。依頼人が中絶を望むのは女児を身篭ったからだ。公序良俗に・・・。
中絶法は女性を抹殺するものではない。
インドでは毎年約50万の女児が中絶されてる。女性に対する偏見だ。
中国でも横行しており、アメリカに住む中国系の子も男児が多いと報告されてる。
女児の殺害は卑しい性差別であり加担できない。中絶の権利が女性の虐殺に利用されてる。これが特権侵害に当たり資格を剥奪されるなら受け入れる。
このような性選別は法廷で許されるべきではない。
裁判長:現行の中絶法に加え中絶の理由を調査する権利を政府に与えるのか?
10代の妊婦を尋問や証拠開示にかけたいのか?
道徳心は尊重するが、法的強制力はない。
決断を下せるだけの成熟性があるとし中絶を許可する。
<感想>
ジェリーの案件はイジメ問題。ジェリーの反応は過剰ではあったが、イジメの被害者の心の傷の深さが感じられる。文字にすると味気ないが、ジェリーの最終弁論は心が揺さぶられるもの。
中絶を求める裁判は、第4シーズンの12話でもあったが、この時に訴えを起こしたのは相手の男性。男性を騙して人口受精をしたために、自分の意思ではなかったと主張し中絶を求めたもの。
この時もロー対ウェイド事件が引き合いに出され、「妊娠を継続するか否かに関する女性の決定はプライバシー権に含まれる」として男性側の主張が却下された。
中絶は、日本でも刑法の規定上では犯罪行為ではあるが、以下の条件で本人及び配偶者の同意を得れば認められる。
'タ韻侶兮核瑤亙娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの
∨醜埃磴靴は脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの
しかし、アメリカではプライバシー権を、日本では経済的理由に、実質的な違法行為が行なわれていることは否定できない。
キムが大きくなって自分が中絶した事実をどう受け止めるのか。性選別は、女性である自分の否定にもつながるのではないだろうか。キムを産んだ母親の心情を思うと切ない。
ベランダトークでは「ヤバい経済学」に書かれていたことが話題となっていた。
「ロー対ウェイド裁判」によって中絶が合法化されたことが、犯罪の低下につながったというものである。つまり、中絶によって未来の犯罪者を生まなかったことが犯罪が低下した理由であるという理論である。真偽はともかく、可能性として在り得るのは皮肉である。
Freakonomics(ヤバい経済学・日本未公開)trailer/ 詳細はこちら
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